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〜 中頓別町 〜
Vol.73/平成20年9月発行
中頓別小学校全児童と地元企業「(株)細建」が建てた、夢のツリーハウス
ツリーハウスって?
 ツリーハウスとは、通常は樹上または樹中に高床式につくられた木造の家屋や小屋のことで、生きている木を土台(基礎)としています。インドネシアやパプアニューギニア、中南米などの熱帯雨林地帯では、住居として使われる場合もありますが、日本では住居として認められていません。したがって、アウトドアライフ、リクリエーション、観光レジャー用、アトリエとして建てられるケースが多いようです。最近では雑誌、TVコマーシャルなどでも取り上げられる機会が増え、ご存知の方も多いかと思います。
 今回は木にゴムを巻いて、板で木を挟みこみ基礎部分をつくるサンドイッチ工法を採用。木の成長に合わせて調節が可能で、木へのダメージを少なくするよう考えられています。建てた後の成長具合や木の健康状態なども末永く観察する必要があります 。
<株式会社 細建 代表取締役>
細谷 陽一さん

株式会社 細 建
枝幸郡中頓別町字中頓別111番地
TEL01634-6-1141 FAX01634-6-1145
《会社沿革》
S6年4月に建築請負業、細谷組設立。
創業77年。
H3年4月、細谷組から株式会社細建に組織変更。
現社長の細谷陽一さんは6代目。
現在従業員8名。
細谷 陽一さん
■企業も地域住民の一員として、地域社会に貢献する時代へ
 北海道洞爺湖サミットが終わりました。サミット開催は、北海道が環境問題に取り組むよいキッカケになったようにも思います。CO2排出削減と地球温暖化防止、森林保護と環境保全、太陽や雪を利用したエコ・エネルギーの促進、MOTTAINAI運動とリサイクル、チーム・マイナス6%への参加など、一人ひとりが身の回りのできることからコツコツと始めたいものです。また省資源化や地域貢献活動に取り組む企業も増えてきました。
 北海道は面積の約7割、全国の森林面積の約2割に相当する森林を有する木と森の王国です。今回訪問した中頓別の森林面積は、町の面積の約80%を占める豊かな森の町です。その恵まれた自然環境を教材として、自然の大切さ、自然体験活動の楽しさ、ものづくりの喜びを地元の子どもたちに伝え育む企業がありました。それが同町で建築業を営む株式会社細建です。

 「H19年12月に、当社と道教委間で締結した北海道家庭教育サポート企業等制度を契機として、新たに何か地域の行事に協力したり、教育を支援できるものがないかと考えていたら、ツリーハウスづくりを思いついたんです。たまたまPTA会長を務めていることもあって、中頓別小学校の全児童が参加するプロジェクトにしたいと思い、校長先生(橋本壽子校長)に相談してみると"自然豊かな中頓別でも木を使ったものづくりを知らない児童が増えているし、普段の授業とは異なる体験から学ぶこともあるでしょうから、ぜひお願いします"と快諾してくれました。それで今年4月に企画書をまとめ、5月12日に着工しました」と話す代表取締役の細谷陽一さんと車に同乗し、町内の藤井地区山林に建つツリーハウスを目指しました。



■もっともエコな建物のツリーハウスは、夢の入口


北海道家庭教育サポート企業等制度を契機として、株式会社細建が地元の中頓別小学校全児童と共に 取り組んだ"HOSOKENツリーハウスプロジェクト"
 藤井川に沿って町道を南下すること約10分。やがて白樺やニレ、タモなどの多様な樹種が生い茂り、むせ返りそうなほどの緑に包まれた森の中に"ツリーハウス"が見えてきました。建物だけを捉えるならその存在はログハウスやキャビン同様に"木"を主張しているはずなのに、まわりの風景と調和しているため、目立つことなく溶け込むように佇んでいるのです。まるで砂の中に光るキレイな石やガラス玉を見つけた時のような、あの喜びと感覚が甦ってきました。初めて見るのに何だか懐かしく、子どもの頃に帰ってしまったような幻想を覚えました。飽きることなく道路脇から眺めていると、そこは宝島、いや隠れ家、あるいは秘密基地のようにも見えてきます。ツリーハウスには、大人を子どもに帰らせてしまう不思議な力があります。
 実際に木の上のツリーハウスに上り、木と一緒に風を感じていると"やっぱり人間は自然の一部なんだなぁ"ということを、しみじみ感じとることができます。いつもより少しだけ空を近くに感じながら、木の匂いや風のざわめきに包まれていると、悩みやストレスから解放されてしまいます。平和でのどかな世界に身を置きながら、どんどん心が洗われていくようです。
 このツリーハウスの名前は"なかよしツリーハウス"。子どもたちが自ら命名しました。そしてこの企画名は"HOSOKENツリーハウスプロジェクト"。中頓別小学校では総合学習の時間として全学年(98名)に2時間ずつの授業が割り与えられ、学年毎に参加しました。細谷さんは、子どもたちに自然や木の大切さ、木を傷つけずに建てる方法(サンドイッチ工法)、枕木や廃材のリサイクル活用などさまざまな知識を授けました。また、釘の打ち方、板の貼り方、塗装の仕方、イス・テーブルづくりなどの技術指導にあたりました。多くのことを教えたはずなのに「いいえ、かえって我々大人の方が改めて教えられたものの方が大きかったですね。大人が忘れてしまっている素直な目、素直な心で見ることの大切さを知らされました。大人と子どもの交流はもちろんですが、子どもたちの教育や活動を支援する大人同士の協力の輪も広がってよかったですね。今後も継続し毎年ツリーハウスを増やしていき、中頓別の豊かな自然環境を守りながら、町づくりの一助になれば」と、早くも今後の長期展望も見据えている模様。

■ツリーハウスが教えてくれる想像力をもつことの大切さ
 巣箱や手づくりブランコ、ハンモック、そして支柱によってそのカタチを変えるいくつものツリーハウスたち。いつかおとぎ話の絵本で見たような風景が、ゆっくりと時間をかけながら、この藤井の里に誕生しようとしています。やがては未来の日本や北海道、そしてふるさと中頓別を担う地元の子どもたちが参加して、毎年1棟ずつ森の中にポツポツと増えていくのです。「あの釘はボクが打ったんだ。あそこの壁はわたしが塗ったのよ。みんなでつくった"ツリーハウス"」そんな子どもたちの歓喜の声が、今にも聞こえてきそうです。
 "おとなは、だれも、はじめは子どもだった。(しかし、そのことを忘れずにいるおとなは、いくらもいない)"--児童文学のロングセラー『星の王子さま』(岩波書店/内藤濯訳)の冒頭に出てくる言葉(デカルトの言葉を引用)を、多くの人が覚えていることでしょう。"心で見なくちゃ、ものごとはよく見えない。かんじんなことは、目に見えないんだよ"と、王子さまに向かって言うキツネの言葉の意味を、細谷さんもまたこのプロジェクトで噛みしめたことでしょう。大切なものは目に見えない。だから見えないものを見るためには想像力が必要なんだと。
 考えてみれば自然ほど目に見えているのに見えないものはありません。自然は生命だと言う人がいます。宇宙だと言う人も、神だと言う人もいます。やはり見えにくいようです。もしも見えているとするのならば、泣いて悲しんでいる姿だって見えるはずですから、環境破壊など起きるわけがありません。どうやらいちばん想像力が必要なのは、我々大人のようです。
 そんなことを考えさせてくれたサミットの年にふさわしいプロジェクトです。
HOSOKEN  ツリーハウスプロジェクト
第1号“なかよしツリーハウス”

ツリーハウスは5本のカラマツが支柱。

基礎枠や階段、橋は株式会社細建が担当しましたが、板貼り〜塗装仕上げまで、すべて中頓別小学校の全児童でつくりあげました。

・着工H20年5月12日

・完成H20年7月22日

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